アドオン金利の特徴
アドオン金利はクレジット契約で活用
以前は、ローンの借入や、商品を購入する際のクレジットの金利や手数料の計算にアドオン方式という金利計算方法が使用されていました。アドオン方式(またはアドオン金利)は現在でもクレジットの手数料計算に活用されていますが、貸金業法及び割賦販売法により金利及び手数料の割合は実質金利で表示することになっています。
アドオン金利の意味
アドオン金利は、当初の元本に所定の指数を乗じて計算した元本と手数料の合計金額を支払回数で割って(徐して)計算するために、当初元本を支払回数で割った月払金額に単に金利または手数料均等に上乗せした様に見えるのでadd onつまり付け加えるという意味でアドオン方式と呼ばれています。
アドオン金利の問題点と誤解
しかしアドオン方式は、毎月の返済で元本が逓減しているのに、金利及び手数料が最初から最後まで一定であることから、元金が減らないものとして計算していると指摘と批判がされています。そして、アドオン方式の金利表示が実質金利よりも低く表示されることから、意図的に悪意を持って低く表示しているとの批判もあります。
この指摘は正しくありません。むしろ、クレジットの手数料計算方式へのアドオン方式導入の経緯を知らない方が、形式的な欠点を批判しているものと思われます。もちろん、クレジット会社側も十分な反論も行わず、さらに手数料の収益化を均等に行っているということで、あたかも元金が減少しているのに手数料は減少しない返済方法に思われます。
クレジットにおけるアドオン金利導入の経緯
アドオン金利は元利均等返済の簡便化が原点
毎月の定額分割返済で実質金利を確実に反映しているのが、元利均等月利残債方式(以下単に「元利均等返済」という)ですが、元利均等返済の歴史は浅く、日本で一般的に普及し始めたのは昭和40年代以降といわれています。
数学的には解決されていたものの、元利均等返済方式が分割返済に導入されるようになったのは、昭和30年代から急激に進んだ大型コンピューターの開発・発達が背景にあります。コンピューターシステムが普及し貸付の返済金額の計算が一般化するまでに元利均等返済方式を基に指数化した方法の一つがアドオン方式です。
元利均等返済の指数化・簡便化の方法
賦金率表による指数化
日本では、この指数化はペーパーベースで三つの方法がありました。
まず単に1円当たりの返済金額を一覧にした賦金率表です。金利が0.02%刻みで支払回数が1~360回まであるため文字が小さくびっしりと書き込まれた表が3cm程の厚さで綴られていました。書籍としては「元利均等償還表」として販売されていましたが、一般には、賦金率表、元利均等償還テーブル等と呼ばれていました。
月払金額は、賦金率に元本を掛けるだけです。
アドオン方式による指数化
次に、クレジットや初期の消費者ローンに活用された、いわゆるアドオン方式の原型となるものです。賦金率に支払回数を乗じて小数点下2桁で纏めた後百分率で表示します。この数字から100を引いて支払回数で割るとアドオン月利、さらにアドオン月利を12倍してアドオン年利となります。
アドオン金利がクレジットの返済に多用されるのは、実質金利に基づく支払の計算を指数化することで簡単に出来る様になったからですが、さらに、クレジットのうち個別購入あっせんは計算を販売店の従業員に委ねるため全ての従業員に分かるようにする必要性から、支払回数毎に指数を表示して簡単に割賦総額が求められるように一覧表を作成し各販売店に配布していました。しかし、それでも不十分で計算式の意味を理解できない販売員もいましたので、さらに販売店別金額毎に割賦対象額、第1回目返済額及び毎月払金額を表示する早見表を作成し配布するようになりました。
このように、最初からアドオン金利でクレジットの手数料を決めたものではなく、銀行からの借入金利に事務コスト、貸倒償却費用及び見込み利益を加算しコスト計算して必要なクレジット手数料を実質金利に置換えて計算したものです。人件費を含む事務コストはクレジット対象金額に関係なく一定のコストが掛かることから、低額のクレジットは事務コストの割合が高くなり高利率で、高額クレジットの場合は事務コストの割合が低くなり低利率の手数料が適用されました。
つまり、クレジットの手数料の決め方は、最初からアドオン方式ありきではなく、元利均等月利残債方式を指数化して簡単に計算できるようにしたものです。
リース料率への活用
最後はリース料率です。
リース料率は、単に賦金率を百分率に置き換えて小数点第第二位(または小数点第三位)に纏めたものです。月額リース料は物件価格にリース料率を乗じて10の位を切り上げるだけで、そしてリース料総額は月額リース料に支払回数を掛けたものです。アドオン金利と同様にリース料またはリース料率から実質金利を求めるのは容易ではありません。当然ながら、リース料率は実質金利ではありません。アドオン金利と同じく単なる指数に過ぎません。
実質金利とリース料率
リース料率を求めるためには、まず次の式で「賦金率」を求めます。
x:賦金率
R:年利率(実質金利)
n:支払回数
求められた賦金率を百分率で表示したものがリース料率です。
リース料率は、小数点以下第二位までを表示するのが一般的ですが小数点第三位まで表示する場合があります。
また、表示桁数を纏めるに際して、表示桁数の下の位を四捨五入、切上げ、切り捨てする場合があります。
上の賦金率の部分は、コンピューターシステムが発達する前は一覧表にされ元利均等返済の月払金額の計算に活用されていました。例えば、住宅ローンの月払金額」の計算には必須でした。
また、賦金率に支払回数(期間×12)を乗じ、さらに元金(クレジット対象額)を乗じるとオートローン等のクレジットの支払総額になります。さらに、賦金率に元金を乗じて10の位を切り捨てるとクレジットの2回目以降の支払額に相当します。
クレジットのアドオン金利もリース料率も、如何にも作為的に金利の表示を低く表示しているように言われていますが、本来は、金融機関からの仕入れの表面金利(=実質金利)に事務コスト、回収コスト、償却リスク分を上乗せしたものです。そして、極めて稀でありますが数式が苦手な販売店の従業員でも計算できるようにしたのが指数表であり、月払金額早見表(ある金額の商品をクレジットで購入する場合に1回目及び2回目以降の支払額を表示した冊子)です。