証書貸付のよる融資方法
証書貸付は、慣例的に銀行などの金融機関やノンバンクだけでなく個人間の貸付でも広く利用される融資の形態のひとつで、融資の都度、契約日、金額、利率、返済期間や返済方法等の融資条件を細かく記載した契約書を作成するといった融資契約です。一般に、住宅ローン、学資ローン及び自動車ローンなど目的がはっきりとし金額も大きい比較的長期の融資です。融資条件の中に返済期間も含まれているので、返済計画が組みやすいとも言えます。
証書貸付で作成される証書は、一般に金銭消費賃借契約書と呼ばれる他、古くは証文や借用書と言われていました。また、「借用書を差し入れる。」と言われるように差入れ式の契約書が多い傾向にあります。
返済方法の概要
証書貸付の返済方法には、主に以下の3つの方法があります。さらに、特定の月に増額して支払ったり、利息の返済時期・方法で細かく分かれます。また、極めてレアな支払方法としてとある銀行が農家向けの商品に出来秋払いという農家の収穫期に年1,2回支払う方法がある他、日本独自の返済方法として盆暮払いが有りますが、結果としては3つの返済方法の変則的支払方法と言えます。
元利均等返済とは
元利均等返済とは、毎月の元利金の合計返済額が一定である返済方法で、返済計画を立てやすくなります。返済金額は端数利息が発生する場合を除けば最初から最後まで同じです。ただし、元利金の合計額は同じでも、毎月の支払額の内訳は最初の方が利息が多く元金の返済額が少ないので借入金残高の減り方が元金均等返済よりも遅くなるため、結果的に総返済額が多くなる場合があります。
証書貸付の借入金額や返済期間によって、元利均等返済の返済計画を作成することができます。具体的な返済予定表を作成すると、返済額、元金部分、利息部分、借入金残高などがわかります。
元利均等返済は、比較的新しい返済方法で、戦後コンピューターシステムが導入されて以降急激に導入されました。主に、住宅ローン、リフォームローン、学資(入進学)ローン、オートローンなどの長期で高額な借入に適しています。
元利均等返済には、月々の支払いに加算して特定の月に増額して支払う半年賦併用払い(または、ボーナス併用払い)が有ります。半年賦併用払いは、きっちり6ヶ月毎の支払いに設定して支払う方法と、支払月を年2回選んで支払える方法があります。つまり、第1回目の加算月を8月にすると次の加算月は自動的に2月となる方法と、夏は6,7,8月から選び冬の加算月は12,1月から選べる方法です。
元金均等返済とは
元金均等返済とは、毎月の返済額のうち、元金の額が一定である返済方法です。返済開始当初の返済額が最も高くなりますが、元本が早く減少するため、借入金残高が逓減していきます。同じ借入期間の場合、総返済額は元利均等返済よりも少なくなります。
元金均等返済は、元本を早く返済したい場合や、短期間の借入に適しています。
元金均等返済にも、元利均等返済と同じく月々の支払いに加算して特定の月に増額して支払う半年賦併用払い(または、ボーナス併用払い)が有ります。
元金均等返済も住宅ローンの借入の返済方法として選択することがありますが一般的ではありません。
期限一括返済とは
期限一括返済とは、返済期限に一括で返済する方法です。元金期限一括返済及び元利期限一括返済があります。さらに、元金期限一括返済は、利息一括前払いと利息分割前払いがある他、利息毎月後払いもあります。
期限一括返済は、借り入れ期間1年以内の短期間の借入や特定の目的のための借入に適しています。
例えば、住宅ローンの借入(住宅金融支援機構からの代理貸し、又は金融機関の直貸しは問わない)が決定しているものの、着手金及び中間金の支払いを求められ、その資金を金融機関から借り入れる場合に返済期限を住宅ローンの融資日に設定し相殺を行う場合に期限一括返済で借入を起こなう場合。また、有価証券担保ローンやゴルフ会員権担保ローンにおいて、名義変更に必要な印鑑証明の有効期間内の貸付とするため2~5ヶ月以内の期限一括返済とすることがあります。
各返済方法の詳細
元利均等返済のメリットとデメリット
元利均等返済は、住宅ローン他目的ローン等の証書貸付で最も多い返済方法の一つです。毎月の元利合計返済額が一定であるため、返済計画を立てやすく、予算管理もしやすくなります。また、返済開始当初の返済額が少ないため、初期の経済的負担が軽減されます。
しかし、借入金残高の減り方が均等ではないため、返済期間が長くなり、総返済額が元金均等返済よりも多くなります。
元金均等返済のメリットとデメリット
元金均等返済も住宅ローンの返済方法の一つです。元金均等返済は、毎月の返済額のうち、元金の額が一定であり、元本が早く減少します。そのため、借入期間が短縮され、総返済額は元利均等返済よりも少なくなります。
ただし、返済開始当初の返済額が最も高くなるため、初期の経済的負担が大きくなります。また、返済額が変動するため、返済の予算管理が難しいことがあります。なお、元金残高は簡単に計算することが出来ることから、元利均等返済の様に返済予定表を見ないと元金残高が分からない、ということは有りません。
期限一括返済のメリットとデメリット
期限一括返済は、証書貸付の返済方法の中でも特殊な返済方法になります。期限一括返済は、返済期限に借入金全額を一括で返済するため返済原資が確実で無ければなりません。長期の借入に比べて、金利も高くなることがあります。
自分に適した返済方法の選び方
証書貸付の返済方法を選ぶ際には、自分の返済計画や経済状況に合わせて選ぶことが重要です。以下では、返済方法を選ぶ際のポイントを紹介します。
返済計画を立てる
まずは将来の返済計画を具体的に立てましょう。何年間で返済を完了させたいのか、毎月どれくらいの額を返済できるのか、しっかりと把握しましょう。その上で、元利均等返済か元金均等返済か、あるいは期限一括返済が適しているか検討しましょう。
返済額の変動に対する備え
返済方法によって、返済額の変動は異なります。元利均等返済の場合、返済額は一定ですが、元金均等返済や期限一括返済の場合は返済額が変動することがあります。返済額の変動に対する備えを考え、自分の経済状況や将来の収入の見通しを考慮して選びましょう。
総返済額の比較
返済方法によって総返済額が異なる場合があります。元利均等返済の場合、返済額は一定ですが、総返済額は元金均等返済よりも多くなることがあります。返済方法ごとの総返済額を比較し、自分の返済計画に合致した方法を選びましょう。
金利の影響を考慮する
返済方法によって金利の影響も変わってきます。元利均等返済の場合、返済期間が長いほど金利が多く付きます。金利の影響を考慮し、自分の経済状況や将来の見通しに合わせて適切な返済方法を選びましょう。
以上のポイントを考慮しながら、自分に適した返済方法を選ぶことが重要です。返済方法の選択は長期間にわたるものなので、慎重に検討しましょう。