アドオン金利とは、ローンの元本全額に対してあらかじめ一定割合の利息を上乗せし、その合計額を返済期間の総月数で均等に割った「元利均等返済方式」の一種を指します。たとえば50万円をアドオン年率10%、3年(36か月)で借りるケースでは、まず50万円×10%×3年=15万円を「利息総額」として算出し、元本50万円と合算した65万円を36で割る──すると毎月の返済額は約1万8,055円となります。このように計算上は金利10%と表示されていても、実際には残高が減っている途中期間にも当初元本に対して利息が掛かり続けるため、実質年率(いわゆる実効金利)は大きく跳ね上がります。上記の例で単純IRRを求めると、実質年率はおよそ18%強となり、表示金利のほぼ倍に達するのが典型です。
アドオン金利は、計算が平易で販売員が月々の支払い額を提示しやすいことから、家電や自動車のクレジットローン、かつての消費者金融商品などで広く使われてきました。しかし利息制限法や出資法の上限金利規制が強化されたことに加え、消費者庁や金融庁が「実質年率表記」を義務づけたため、現在は金融機関本体の個人向けローンではほとんど見られません。一方で、提携販売用の割賦販売契約やリース契約などでは名称を変えて残存している例もあり、月々の返済負担だけでなく実質年率を確認することが利用者にとって重要となります。
要するにアドオン金利は「元本の減少を無視して利息を算定する」仕組みであり、見かけの金利表示よりも実質負担が大きくなる点が最大の特徴です。このため、同じ表示金利でも元利均等返済(元金残高方式)に比べて支払総額が増えることを理解し、契約前に実質年率や総支払額を把握することが、賢い借入れの前提条件となります。