平均残高法による利息充当方式別の実質金利の検証

同一貸付条件下での利息充当方式別の実質金利の検証

別ページの「平均残高法による実質金利の算出の考え方と算出方法」について説明いたしましたが、今回は貸付条件及び返済金額は全く同じでも月々の利息の計算・充当方法によって実質金利に差が生じるのかを、見なし利息が無い表面金利=実質金利の条件下で検証いたします。

なお、各利息充当方式における毎月の利息は計算方法によって1円単位で月払元金と月払利息が違ってきますが、いずれの方法を採用しても実質金利の値に影響は無いと判断いたしました。
例えば、七八分法を例に月払利息の計算する方法として

➊該当月の利息を直接計算する方法
求められた値の少数点以下を切り上げるか、切り捨てるかに(四捨五入を含む)よって二つの値が得られます。
計算式=2×(支払回数+1-初回からの回数)/支払回数×(支払回数+1)×利息合計

➋該当月以降の戻し利息を計算し、さらに次月以降の戻し利息を計算して差額を該当月の利息として計算する方法
この場合も、求められた値の少数点以下を切り上げ、切り捨て(四捨五入を含む)よって二つの値が得られます

❸他に一般的ではないものの、該当月までの利息合計を計算し、前月までの利息合計を計算して差額を該当月の利息として計算する方法

上の➊、➋及び❸の計算方式に該当する計算例は下記の表ですが、左からそれぞれ若い番号に該当しています。

➋及び❸の計算例の表については、元金充当額欄は省略しています。

計算方法によって、2ヶ所で利息相当額が相違し、そのため積数も差異が生じていますが実質金利には全く影響ありません。

  • 78分法による単月の利息の算出方法と実質金利

七八分法以外の利息分の計算でも同じことが起こり得ますが、同様に利率の数値に影響は与えないものとして計算いたしました。

利息充当方式別の平均残高法による実質金利算定例

貸付条件

貸付条件は全て同じで下記の通りです。元利金の充当方法だけが相違しています。

元金    1,000,000円
貸付利率  年率 6.00%
支払回数  12回
月払金額   円(但し、最終回は、 円)

月利残債方式の場合

この場合、月々の利息は残元金に対して、平均残高法検算(月利残債方式元利均等返済の場合)年6%の12分の1に当たる0.5%を乗じて求めています。大の月、小の月に関係なく1ヶ月0.5%(年率換算 6%)の利率で計算を行っていますので、実質金利は当然に6%になります。以下の通り平均残高法でも検証を行いました。

 

右の表で、支払回数1~12回の行の「金利」の部分は、利息充当額を元金残高で除して求められた月利を12倍したものです。支払回数1回目を例にすると
計算式;5,000/1,000,000*12=0.06

となり、積数を使って求めると
5,000/(30,416,667*12/365)*12=0.06
となり、実質金利は同じ6%になります。

 

ここで1ヶ月の日数は、365÷12=30.41666666日として計算しています。

 

最下段の金利の6%は、この借入内容・返済方法のときの最終的な実質金利です。
計算は、分かり易くするために分けて表示いたします。

まず、1~12回の積数の和を求めると、199,516,912(積数列の最下段)となります。
この値は、元金残高に日数を乗じた積の和ですから、これを日数の365日で除すると平均残高546,622円が求められます。これは、1年を通して546,622円を借りていたことになり、その間(1年間)の利息の合計は利息充当額の合計32,797円になります。
よって、金利は、32,797/546,622=0.0599994となり≒0.06で6%です。

七八分法方式の場合

七八分法方式の場合は、総利息額から七八分法で78分法により月払金額を利息と元金に分けた場合の実質金利月毎の利息を求め、そして支払元金は月払金額から利息を減じて求めています。

 

金利の部分は、「月利残債方式の場合」と同様に、月利を求め12倍して年利に換算しています。
月々は、年利換算で5.90%~6.05%まで幅が有りますが、結果的に平均残高法で計算すると年利6.00%になります。

 

なお、「月利残債方式の場合」に比べて、積数の和が、199,536,943になりますので、平均残高は、546,677円で平均残高で120円少なくなっています。

均分法方式の場合

均分法は、元金及び利息ともに均等に分割平均残高法検算(均分法の場合)して支払うものとして計算します。所謂、アドオン方式と言われる元金と利息の配分方法です。

 

返済初期は、利息の割合が少ないので、月利は極端に低くなり年利換算すると、初月は3.28%になります。

 

一方、最終回は残高が初回の12分の1になっているにも関わらず、利息は初回と略同額であるため月利が高くなり年率換算では初回の3.28%の約12倍の39.47%となります。

 

積数を基に計算した平均残高は、541,669円となり、「月利残債方式の場合」に比べて4,953円少なくなり平均残高が減ったにも拘らず利息は変わりませんので年利換算の利率は6.05%と高くなります。