月利残債元利均等返済方法における借入月による実質金利への影響

借入月による実質金利への影響

別ページの「平均残高法による利息充当方式別の実質金利の検証」で、月利方式に於いて利息の充当方法によって実質金利にどのような影響があるかを検証いたしました。しかし、貸金業法及び割賦販売法に定める実質金利の表示の計算方法は別表で借入期間は借入日数を基準にして計算する様求めています。

 

銀行にしてもノンバンクにしても表示されている金利は、表面金利を実質金利として、しかも1ヶ月の利息の計算はひと月の日数に関係なく月利で計算し、表示する年利は単に月利を12倍する方法で計算しています。

 

ここでは、月利残債方式で借り入れた場合、借入月が大の月と小の月とで実質金利にどの程度の差が出るのか、また、総支払額に差が出る可能性があるのかを検証いたします。

借入月による実質金利への影響を平均残高法により検証

貸付条件

貸付条件は貸付日を除いて下記の通り同じとします。

元金    1,000,000円
貸付利率  年率 6.00%

       但し、月々の利息は0.5%の月利計算
支払回数  12回
返済方法  元利均等返済
月払金額   86,066円(但し、最終回は、 86,071円)
※月払金額は全て同じとして計算いたします。最終月を前月末残に対して実日数で計算する場合もありますが、全て月利計算とします。

 

実日数による平均残高法引き直し計算

月利計算した利息を基に実質金利を求めた場合

極一般的な証書貸付で利用されている利息(右の表の利息充当額)を月利で計算した場合を例に、平均残高法で引き直し計算したときの実質金利を求めてみます。
但し、年365日とし閏年の2024年も比較が容易に出来るように年365日として計算します。

小の月の実質金利平均残高法検算(月利残債方式の実日数引き直し)

小の月に借り入れた場合、第1回目の日数が少ないので実質月利が高くなり、年利換算でも高くなります。

 

右の例では、第1回目の実質金利は6.52%と表面金利を大きく上回っています。

 

最終的に、積数の和が198,152,908で、この数値を基に平均残高を求めると542,884円となり、実質金利は6.04125%となります。

大の月の実質金利平均残高法検算(月利残債方式の実日数引き直し-大の月)

大の月に借り入れた場合、小の月と逆に第1回目の日数が多いので実質月利が低くなり、年利換算でも低くなります。

右の例では、第1回目の実質金利は5.89%と表面金利をわずかに下回っています。

 

積数の和は、小の月と比べて2,500,000程度大きく、200,649,968でした。平均残高は、549,726円となり小の月より6.841円多くなっています。利息合計と平均残高から実質金利は5.966%となります。

 

今回月の大小を2月と3月で比較しましたが、貸付日を大の月が連続する7月にすると5.97%になります。(計算例省略)

年6%で引き直し計算し最終回で調整して実質金利を求めた場合

年6.00%の日割り計算で利息の計算を行い、最終回に残元金に充当した残りを全て利息として充当する方法で実質金利を求めることで検証を行いました。

小の月の実質金利平均残高法検算(小の月の月利残債方式の実日数引直し)

小の月に借り入れた場合、第1回目の日数が少ないので利息充当額が少なくなり元金の返済額が増えます。その後大の月には、利息充当額が増えるものの全体としては元金の返済が進みます。

 

そのため、最終回の元金残が少なく利息に充当する金額が多くなり、年利換算で9.40%と高くなります。本来、6.00%の利率であれば最終回の利息は435円であるべきで247円多く利息を取っていることになります。

大の月の実質金利平均残高法検算(大の月の月利残債方式の実日数引直し)

大の月に借り入れた場合、初回となる2023年4月27日までの1ヶ月間の日数が少ないので利息充当額が多くなり元金の返済充当額が減ります。

 

その後小の月に調整されますが、全体としては元金の減少が進まず最終回の元金残高が多くなります。

 

その結果、利息として充当される金額が少なくなり、年利換算で3.36%と低くなります。6.00%の利率であれば最終回の利息は395円であるべきで174円少なく利息を取っていることになります。

 

借入月による実質金利の検証結果

検証の結果、実質金利は借入月が同じである場合は計算方法が違っていても平均残高法により求められた実質金利は同じでした。つまり、月利計算で求められた利息を固定して積数を求めて実質金利を算出しても、表面金利で引き直し計算して最終回の利息で調整しても実質金利は同じです。しかし、積数の和は同じではないことから求める桁数によっては実質金利が違ってくると思われます。

 

一方、借入月が大の月か小の月かによって実質金利に影響が出てくることがはっきりしました。特に、28日の月と31日の月では大きく違ってきました。