過払金の発生原因と間違った計算方法と正しい計算方法

ローンの過払金発生の原因

長期に渡りクレジットカードのキャッシングやカードローンを利用していると過払金が発生することがある、と言われますが、そもそも過払金とは何でしょうか。また、どうして過払金が発生するのでしょうか。一般に「払いすぎた利息が過払金である」と言われます。そして、「払いすぎた利息を返して貰えます」とか「違法な利息は返して貰えます」と謳った弁護士や認定司法書士が数多くいます。

 

しかし、この表現は厳密に言えば正しくありません。「払いすぎた利息云々」の表現は、貸付利率が利息制限法の制限利率を超えている場合に超過している利率相当額を返して貰えると解釈できます。つまり、以下の2例のように間違った意味に解釈できます。

 

また、貸付した金融業者に過払金の請求を行ったところ無知を理由に下記2例の計算式で計算した過払金を提示され騙されない様にしましょう・

間違った過払金の解釈と計算例

毎月の利息のうち利息制限法超過額のみを過払金とする考え方

例えば、以下の内容で貸付を行なったものと仮定します。

貸付金額    500,000円
約定(貸付)利率 24.0%
返済方法    元利均等返済
支払回数    12回

下記の表のように約定利率で計算した利息から利息制限法の制限利率で計算した利息を超過した部分だけを過払金として計算するものです。下記の表の過払利息の合計欄の16,837円が該当金額になります。過払利息は支払の都度元金を支払ったものとして元金に充当されなければなりませんので、本来元金の逓減割合が進み利息も少なくなります。
間違った過払金の計算と充当方法

 

表にすると次の様になります。

▬ 利息制限法を超過した利息
 利息制限法の制限利率による利息
 元本充当金額
▬+▬ 約定利率に基づく利息
▬+▬+ 毎月支払額合計

毎月のの合計額が過払金合計となります。
過払金は、16,837円となる考え方です。

 

約定利率と利息制限法の制限利率の支払総額の差を過払金とする方法

約定利率で計算した支払総額と利息制限法の制限利率で計算した支払総額の差を過払金とする考え方です。貸付条件は、上記の例と同一とします。

元利均等返済の毎月の返済金額の計算は、
元利均等返済における支払総額の計算式x 支払額合計
r 利率(年利)
n 支払回数
A 貸付金額
で求められます。

この式から、約定利率24%と利息制限法の制限利率18%での支払総額を計算します。
24%の場合の支払総額  567,360円
18%の場合の支払総額  550,080円
差額 17,280円が過払金とする考え方です。

 

つまり、利息制限法の制限利率の年18%で計算したら、総額で550,080円を支払えば完済するのに、約定利率の年24%で計算した567,360円を,受け取っているので差額の17,280円が過払い金とするものです。

正しい過払金の計算式

正しい過払金の計算は、残債方式、すなわち元金の残高に応じて定率で利息を計算する方法で行います。充当方法は、法定充当順位に基づき全て充当しますので、支払った金額は利息に充当し残余金は元金の返済に充てます。

 

なお、下記の計算は、厳密には日割りで利息の計算を行うべきですが、日割りで計算すれば貸付日が大の月か小の月かによって利息が大きく変わり過払金に影響しますので、月利で計算することで単に傾向と貸付月に関係なく平均的な過払金を表す方法としました。

 

正しい過払金の充当計算

ここで、マイナスになっている残元金18,779円が過払金です。残債方式で計算すると利息制限法の制限利率で計算した利息を超過した金額は全て元金に充当されます。そのため、元金残高の減少が早く進み、利息制限法の制限利率で計算した利息も一層少なくなるので過払金が最も多く発生することになります。

参考)
上記利息計算は月利計算なので1ヶ月目の計算は、500,000×0.18/12=7,500(円)となっていますが、
これを日割り計算にすると大の月で、500,000×0.18×31/365=7,643(円)です。