カードローンを含む無担保・無保証ローンの仕組みと契約関係

無担保・無保証ローンの概要

無担保・無保証融資の定義

無担保・無保証とは、文字通り貸主が貸付に際して(根)抵当権、仮登記担保、譲渡担保及び質権等の物的担保の他(連帯)保証人や保証会社といった人的担保を付けない融資で、金融機関や信販会社・クレジット会社及び消費者金融専業者等で幅広く利用されされている融資方法です。所謂キャッシングやカードローンの他、証書貸付でも貸付審査期間が短く簡単で融通が利くということで消費者向けローンとしては最も一般的な融資方法です。

 

銀行では、主に事業者向けにプロパー融資という制度があります。保証協会等の保証会社の保証を付けない融資制度ですが、不動産を担保に取ったり住宅ローンのつなぎ融資の場合は、住宅金融支援機構からの融資金を代理受領する方法で融資金の回収をするので全てが無担保・無保証融資では有りません。代理受領は、民法に明文化されているわけではありませんが、金銭の受領の委任を受けているものと解されます。

無担保・無保証融資の歴史

戦後10年頃までは、金融機関の個人向け貸付は特定の銀行で行われていたようですが、専ら知人、友人及び親戚からの借り入れに頼っていました。それでも足りなかったり頼るべき人がいない場合は高利貸し等の街金から借りていました。

 

戦後10年程を経過した1950年代半ば頃に豊かな生活を求める団地族の消費財購入資金の需要に答えるように団地金融と呼ばれる貸付が浸透して行きました。その後、1970年代以降サラリーマンを対象としたサラリーマン金融(所謂サラ金)が台頭してきました。現在の大手消費者金融専業者のほとんどはこの時期に業績を伸ばし現在に至っています。

 

一方、金融機関においても戦後10年を経過した1950年代半ばに信用金庫や信用組合などの中小の金融機関で個人への貸付を行なうようになり、1960年代には都市銀行の中で個人向け消費者ローンに参入する銀行も現れましたが、消費者向けローンのノウハウが確立されておらず、貸付対象や資金使途を限定したり、条件を付すなど厳しい審査で時間も掛かっていました。当時、融資の主力は企業向けの大口融資でした。

さらに、1970年代初期に一部の銀行でカードローンの取扱いを開始しましたが期待できるほどの伸びは有りませんでした。

その後、1980年代の半ばに金融機関は新たな資金運用手段として信販会社・クレジット会社等の消費者信用産業業界の保証と審査代行の協力を得て個人融資に注力するようになりました。背景には、バブル崩壊を見据えた総量規制を前に、特定企業への過剰融資抑制のため新たな資金運用先を確保する必要が有ったものと思われます。近年、保証会社は当初の信販会社、クレジット会社及び系列保証会社から大手消費者金融専業者にシフトしてきています。

 

隆盛を極めていた消費者金融専業者も1980年前後にクローズアップされ始めたサラ金問題(クレサラ問題)による1983年の貸金業規制法の制定及び改正の影響を受け次第に勢いを失い銀行の軍門に下ることになりました。

無担保・無保証ローンの仕組みと契約関係

無担保・無保証ローンは、契約内容から2種類に分類することが出来ます。資金使途自由のフリーローン及び目的を限定し資金使途証明書の提出を求められるオートローン、リフォームローン及び学資(進学)ローンと言われる単発貸付タイプの証書貸付とローンカードを発行しそのローンカードを使用してATM(CDを含む)から限度額の範囲内で反復継続して借入が出来る当座貸越契約(または、継続的金銭消費貸借契約)タイプです。

 

二つの貸付は、ローンカードを発行するか否か及び貸付の方法を除けば、契約までの流れ及び契約関係は大きくは変わりません。下記に各貸付タイプのフローを示しましたので比較してみてください。

証書貸付型無担保・無保証ローンの仕組み

証書貸付型無担保・無保証ローンの申込から融資までの流れ

証書貸付型無担保・無保証ローンの仕組みと申込から融資までの流れは以下の通りです。無担保・無保証証書貸付ローンの仕組みと流れ

借入の申込
信用調査
情報機関信用照会・結果通知
融資
返済

 

無担保・無保証証書貸付ローンの契約関係

無担保・無保証証書貸付ローンでは、当事者は二者であるので契約は1種類のみです。その他、貸主である金融機関及びノンバンク等の金融業者(信販会社、クレジット会社及び消費者金融専業者)は別途に個人信用情報機関間との契約があります。

 

なお、金融機関は無担保・無保証の貸付はほとんど行っておらず、保証会社の保証を付すのが一般的です。

 

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