一口にカードローンと言っても銀行等の金融機関が取扱うカードローンとクレジットカード会社、信販会社及び消費者金融専業等の消費者信用産業の取扱うカードローンには違いがあります。カードローンを利用する上ではあまり違いは感じられませんがそもそも契約形態から違っています。それぞれのカードローンの違いを説明して行きます。
カードローン契約の違い
銀行等の金融機関のカードローン契約書には、締結する契約をはっきりと「当座貸越契約」と明記している他、金融機関によっては当座貸越契約条項と金銭消費貸借契約条項の二つが記載されていることもあります。
一方、クレジット会社等の消費者信用産業の場合は、カードローン契約もしくは単に本契約を締結と表現している場合が多いです。なお、クレジット会社等の消費者信用産業の場合は、訴訟に発展した場合の訴状には「請求の主旨」に「・・・カードローン契約を締結した。」と表現するか、あるいは「・・・継続的金銭消費貸借契約を締結した」と表現するのが専らです。
このことから、カードローンとは金融機関では当座貸越契約のことを指し、消費者信用産業では継続的金銭消費貸借契約のことであるとわかります。
金融機関の当座貸越契約
従来の当座貸越契約
当座貸越は、銀行や金融機関が提供する金融サービスの一つで、事業性資金の場合は当座預金の残高が手形・小切手の決済資金として不足する場合に、一般の方は消費資金が不足する場合に普通預金口座から自動的に借り入れることができる仕組みです。本来、当座貸越は、一時的にもしくは必要な時に即時に貸付を行なう制度です。
当座貸越は、当座預金や普通預金口座との連動性があります。通常、預金口座の残高が不足している状態で利用すると、あらかじめ設定された限度額まで当座貸越を行うことができます。
実際は、事業性資金については当座貸越契約を締結する場合は不動産に根抵当権を設定したり、消費資金の場合は総合口座の定期預金の80~90%の範囲内で貸付が行われます。貸付利率は、預金口座の利率に0.5%程度上乗せされます。
このタイプの当座貸越は、ローンカードを使用することは無く、使用するとしてもバンクカードを介して使用するにすぎず、一般的に預金通帳にマイナス表示されるかODと表示されます。
カードローンの当座貸越契約
カードローンの当座貸越契約は、既存の当座貸越契約とは大きく違っており、ほとんど消費者信用産業のカードローンと同じですので契約名称も統一すべきと考えますが、金融機関の独自性を維持したいのか、保守性や閉鎖性によるもかは分かりませんが、保証契約を支払承諾と呼ぶように金融機関の隠語っぽいです。
既存の当座貸越契約とカードローンの当座貸越契約の違いは、文字通りローンカードを使用して貸付を行なうこと及び必ずしも通帳を必要としないこと、無担保であることです。
クレジット会社等消費者信用産業の継続的金銭消費貸借契約
クレジット会社、信販会社や消費者金融専門会社等の消費者信用産業のカードローンは、継続的金銭消費貸借契約という契約なっています。この契約は、継続的金銭消費貸借契約を基本契約とする極度取引で借り手が必要な時に極度額の範囲で必要なだけお金を借りることができ、返済も分割で行うことができます。借り手は毎月一定の金額を返済し、借り入れ枠内であれば何度でも繰り返し借り入れが可能です。
金融機関と消費者信用産業のカードローンの貸付方法の違い
金融機関のカーローンも貸付方法については、消費者信用産業のカードローンと差が無くなってきています。専用ローンカードによる貸付やカードレス貸付は双方とも行っています。通帳に貸付額を記帳するなどの古いタイプのカードローンは略姿を消しました。
ただ金融機関のカードローンには専用のローンカードを発行せずにバンクカードを兼用してATMの画面操作の際にカードローンを選択することで借り入れを出来る方法もあります。
それでも、全体的には消費者信用産業のカードローンの方法が多岐にわたります。例えば、ネット申込による振込貸付、カードレス貸付などは消費者信用産業の方が進んでいます。特に、消費者金融専業者は新しいシステムに積極的で信販会社よりも10年進んでおり追い越されることは無いと豪語していた有名なトップもいたほどです。