売買契約・役務提供契約
売買契約もしくは役務提供契約(サービス提供契約)は、クレジット契約の原因となる契約です。原因となる契約に不完全履行などの契約が完成していない事項があればクレジット契約による立替金の返済について抗弁され争いが生じる場合があります。
特に、商品の引渡で契約が成立する売買契約と違い役務提供契約の場合は、契約後に役務が始まる場合が多く、役務の提供期間中に役務の提供義務がある加盟店の倒産、役務の質・内容に対する不満や役務提供期間中の解約などによりトラブルが生じる要因が数多くあります。
契約に際しては信頼できる販売店(役務提供者)を選ぶことと、役務を伴う場合は継続して役務の提供が出来るか、また、自分自身が最後まで役務を受ける覚悟があるか判断することが重要です。その他、転居した場合に転居先でも同じサービスを受けることが出来るか、または転居先から通うことが出来るかも合わせて考える必要が有ります。
加盟店契約
信販会社(クレジット会社)と販売店(役務提供者)である加盟店の契約は、特約店としての取扱いの内容、加盟店の義務、不正行為に対する対応及び立替払の支払時期が定められています。
信販会社にとって加盟店管理は顧客管理以上に重要な問題です。顧客に起因する不良債権化は、病気、失職、死亡等によりある程度は已むを得ない面があり織り込み済みですが、加盟店による不正行為を原因とする債権の不良化は金額も大きく社会問題化することもあります。
現在では、一定の割合で不良債権を発生される不正顕在化加盟店は、加盟店情報交換センターにその情報が登録されてクレジットの取扱が出来なくなることがありますが、一般に不正行為が発覚した段階では既に多額の不正契約が発生しています。
また、事件化される加盟店不正事件においては、必ず取引先として名前の挙がるクレジット会社も数社見受けられクレジット会社としての社会的使命の意識が希薄であると思わざるを得ないのは残念です。
加盟店不正は、以前は加盟店の資金繰りのために加盟店の知人、友人の他親戚を巻き込み名義を借用したり、結託・共謀して信販会社から金を引き出す傾向がありましたが、現在では加盟店側単独の不正が多くなっている傾向があります。最近問題になった大手中古車販売店の例が正にそうです。
情報提供契約
信販会社と信用情報機関との契約は情報提供契約になります。信用情報は、信用情報機関から一方的に信販会社に提供されるのでは無く、信販会社も情報の内容によって即時または月1回程度の割合で更新情報を提供しています。更新することで最新の情報を信販会社に提供し与信判断に活用されています。
包括信用購入あっせんの仕組みと契約関係
包括信用購入あっせんのフロー
➊クレジットの申込
➋信用情報照会(クレジットヒストリー照会)
❸クレジットカード申込の意思確認・在籍確認
❹クレジットカード発行
❺商品購入
➏クレジットカード売上承認依頼
➐クレジットカード承認番号発行・通知
➑商品引渡
➒加盟店への立替払
➓返済
➏クレジットカードの承認依頼は一般的にG-CATで行われます。
この取扱いフローは基本的な流れです。このフローの中に決済代行会社やオーソリ会社が介在することがあります。
また、百貨店やショッピングモール等の大型商業施設では、大型商業施設を親加盟店として加盟店契約を行い、テナントを子加盟店にして手数料の中抜きを行うケースもあります。例えば、大型商業施設とクレジット会社の間は、加盟店手数料は3%として契約を行っているものの、子加盟店からは5%の手数料を取り2%を大型商業施設側の収益とする方法です。
但し、この方法は簡単にクレジット会社とテナント間の直契約の売上にすることが可能です。
なお、大型商業施設の子加盟店であることは、手数料を中抜きされるマイナス面だけではなく、テナントが契約していないクレジット会社のカード売上を大型商業施設を通して取り扱うことが出来る、というメリットがあります。
包括信用購入あっせんの契約関係
包括信用購入あっせん(クレジットカード)も個別信用購入あっせんも各当事者間の契約関係は同じですが、契約の流れは相違しています。個別信用購入あっせん契約が原因契約となる売買契約の申込後にクレジット会社が与信判断をして契約に至るのに対して、包括信用購入あっせん契約は予め消費者(購入者)に与信限度額を与え限度額の範囲内で略自由に買い物等の利用が出来る制度です。
但し、一部に数百万円の与信枠がある利用者がいる一方で、一般の人は与信額は30~50万円程度が一般的で高額な買い物には向いていません。
また、車の購入やリフォームの際は包括信用購入あっせん契約は使えず、個別信用購入あっせん契約となるのが一般的です。