クレジットカードの家族カード会員と返済義務

クレジットカードの家族会員カードとは

家族会員カードと本カードの基本的な仕組み

 クレジットカードの家族会員のイメージ画像家族会員カードとは、クレジットカードの会員本人(主会員)が契約するクレジットカードに付帯して発行されるカードを指します。このカードは、原則として同一生計家族が利用できるもので、主会員が利用者に追加発行を申請します。特徴的なのは、家族会員カードでの支払いが発生した場合、その支払い責任や返済義務は主会員が負う仕組みです。つまり、家族会員カードにより発生する債務もすべて本カードに集約されます。

家族会員カードを利用するメリットと注意点

 家族会員カードを利用するメリットのひとつは、家族全員が1件のカード契約に基づいて複数のカード利用分の支払いを纏めることができる点です。また、ポイントが本カードに統一して加算されるため、効率的なポイント蓄積も可能です。さらに、利用明細をまとめて管理できるため、支出を把握しやすいという利点もあります。

 

 一方、注意すべき点も存在します。家族会員カードの返済責任は主会員が負うため、使い過ぎが発生した場合、最終的に返済負担が集中するリスクがあります。また、名義人である主会員の信用情報に直接影響を与えるため、利用金額が限度額を超えると、信用評価の低下やトラブルに繋がる可能性もあります。

家族会員カード発行の条件や制限

 家族会員カードは、原則として18歳以上の家族を対象に発行されます。一般的に、親、配偶者、子供が発行対象となり、同一生計を営んでいることが条件です。ただし、兄弟や祖父母、義理の家族、内縁関係のパートナーは発行対象外となる場合がほとんどです。また、発行枚数にはカード会社ごとに制限があり、多くの場合は1~4枚程度に限定されます。さらに、主会員そのものがブラックリストに登録されていると、家族会員カード発行も困難となります。

家族会員カードと名義人の関係について

 家族会員カードは主会員の名義に基づいて発行されるため、すべての支払い責任および債務整理における負担は主会員に帰属します。そのため、家族会員カードを利用する際には、主会員が利用明細の確認や家計管理を徹底する必要があります。

 

 また、万が一、家族会員カードを利用する家族が返済不能な支出をした場合でも、支払い義務が発生するのは主会員のみです。これにより、家族間で返済の負担やトラブルが生じる可能性もあります。したがって、家族会員カードの利用に際しては、家族間でルールをあらかじめ共有することが重要です。

家族会員カード利用時の返済義務の基本

返済の責任は本カード名義人の負担

 家族会員カードの利用によって発生する返済義務は、基本的に本カードの名義人(主会員)が負担します。これは、家族会員カードが本カード契約に基づいて発行されるため、家族会員カードでの利用額もすべて本カード名義人が管理する仕組みになっているからです。そのため、家族会員カードを利用する際には、実際にカードを利用した家族ではなく、名義人自身が返済責任を負うことを理解しておく必要があります。

 

 例えば、家族が家族会員カードを利用して商品を購入した場合、その支払い義務は家族会員カードを利用した人ではなく、主会員である名義人に請求されます。これにより、支出が予定を超えた場合でも名義人が責任を負うため、家族間で事前にルールを設けておくことが重要です。特にクレジットカードや家族会員カードを使いすぎて返済が遅れると、名義人だけでなく家族全体に信用問題が波及する可能性があるため注意が必要です。

家事連帯債務との関係

家族会員の利用分についても全て主会員がその支払い義務を負う旨説明を行ってきましたが、購入した商品が家事連帯債務に該当する場合は家族会員にも負担を求める場合があります。クレジットカードの家族会員が配偶者であり、その配偶者によるカード利用が家電品などの生活必需品の購入といった「家事に関する法律行為」である場合には、民法第761条(夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方も連帯して責任を負う)に基づいて、主契約者である配偶者とともに、家族会員にも債務の履行責任が及ぶ可能性があります。

 

つまり、この場合、たとえカードの契約上は主契約者に請求されるのが原則であっても、民法上の家事連帯債務の関係により、家族会員である配偶者に対しても支払い義務が生じる余地があるため、法律的には請求が可能と解されます。ただし、家族会員の名義での利用であっても、その行為が社会通念上「日常の家事の範囲」に収まることが前提となり、例えば高額な贅沢品や明らかに家庭の用に供さない支出であれば、家事連帯債務としては認められない可能性がある点に留意が必要です。

 

但し、個別クレジットの場合を除いて、クレジットカードの利用分で家事連帯債務を主張するクレジット会社はほとんど無いのが現状です。

家族会員カード使用後の債務整理における影響

 家族会員カードを利用している場合、債務整理を実施することでいくつかの影響が生じる可能性があります。債務整理をするのが本カード名義人の場合、家族会員カードの利用分もすべて債務整理の対象となります。このため、家族会員カード利用分も含めて整理が行われるため、家計全体に影響を及ぼすことが考えられます。

 

 また、債務整理を行った名義人がブラックリストに登録されると、その名義での新しいクレジットカードの発行やローン契約が難しくなるケースがあります。この影響は、本来家族会員カードを利用していた家族にも間接的に影響する可能性があるため、注意が必要です。たとえば、家族会員カードの使用停止や限度額の縮小などが生じることもあります。事前に家族全体で影響の範囲を確認し、債務整理の手続きに備えることが大切です。

家族会員カード利用時に注意すべき法律的側面

 家族会員カードの利用に関しては、法律的な側面にも注意が必要です。基本的に家族会員カードの契約者は本カード名義人であり、家族会員カードを利用するのは契約者本人と信頼関係がある家族に限定されています。そのため、兄弟や祖父母、義理の親、内縁のパートナーなどはカード会社の規約上、家族会員カードの発行対象外となります。

 

 また、家族会員カードの利用が契約内容に違反した場合、カード会社が利用停止や契約解除を行う可能性があります。特に規約外の者が家族会員カードを使用したり、家庭内での使い方を巡って問題が起きたりした場合は、法的責任が問われるケースもあります。事前に利用規約を十分に確認し、適切にカードを管理しましょう。

親カード名義人への請求と家族間トラブル

 家族会員カードの使用に関連する大きなリスクの一つが、親カード名義人に対する請求と、それによって生じる家族間トラブルです。例えば、家族会員カード利用者がクレジットカードの限度額を超えるほどの買い物をした場合、その請求はすべて本カード名義人に集中します。この状況において、家族間で「誰が返済するのか」といった問題が発生し、トラブルに発展するケースもあります。

 

 さらに、家族間の信頼関係が崩れることで、財政管理や生活全般に悪影響を与える可能性があります。このようなトラブルを防ぐため、事前に家族間で予算や利用ルールを共有し、定期的に利用状況を確認することが重要です。

 

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