代理貸し

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代理貸しは一般に、実質的な貸付資金の出し手が別に存在しながら、名義上は他の金融機関が貸し手となる取引形態を指しますが、このうち現実的かつ制度的に正当な形で行われていた代表的な例が、旧住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)の融資を民間金融機関が窓口となって取り次ぐ仕組みです。具体的には、公庫が原資を提供し、融資条件や審査基準も公庫側が定めたうえで、実際の融資契約の締結や資金の交付、債権管理などを民間の銀行が代行していました。この場合、銀行はあくまで事務取扱機関としての役割を果たし、融資そのもののリスクや資金負担は公庫が負っていました。

また、他の例としては、政府系制度融資において、国や地方公共団体が資金の出し手となり、民間金融機関がその資金を用いて中小企業や特定分野の事業者への融資を実行するケースが挙げられます。たとえば、信用保証協会の保証付き融資やセーフティネット融資制度などでは、国や自治体が支援枠を設け、銀行などが実際の融資手続を担う形で政策目的を達成しようとするものです。これらはいずれも制度として整備された「代行型」の融資であり、資金提供者と名義上の貸し手が分離していても、その関係が透明であり、法的・制度的に根拠づけられている点が特徴です。

このような形の代理貸しは、単なる「名義貸し」とは異なり、資金の出し手と窓口機関の役割分担が明確であるため、適法かつ公益的な融資手段として広く活用されてきました。特に旧公庫の融資制度においては、全国の金融機関を通じて均一な住宅ローンを提供する手段として極めて重要な仕組みでした。

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