契約自由の原則とは、私人間の契約関係において、当事者がどのような内容の契約を締結するかを自由に決定できるという民法上の基本原則です。この原則は、私的自治の理念に基づき、個人の意思を尊重するという法体系の根本に位置づけられています。契約自由の原則には、誰と契約するかを自由に決められる「相手方選択の自由」、どのような内容の契約をするかを定める「契約内容決定の自由」、契約をするかしないかを選べる「契約締結の自由」、そして締結した契約を将来的に解消する「契約解約の自由」といった側面が含まれています。
しかし、この原則は絶対的なものではなく、公共の福祉や社会秩序の観点から一定の制限を受けることがあります。たとえば、消費者保護法や労働法などにより、社会的に弱い立場にある者を保護するために契約内容に制限が設けられていたり、強行法規に反する契約は無効とされることがあります。また、公序良俗に反する契約も無効とされるため、全ての契約内容が無制限に自由というわけではありません。
したがって、契約自由の原則は、個人の意思を尊重しつつも、その自由が社会全体の調和と両立する範囲において認められているのが実情です。現代においては、この原則の下での自由と、その限界の調整が法の運用において重要な課題となっています。