総量規制

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貸金業法における「総量規制」とは、貸金業者が個人に対して貸し付ける金額の上限を、原則として年収の3分の1までに制限する制度のことを指します。この規制は、過剰な借入れによって生活に支障をきたす多重債務者の発生を防ぐことを目的としており、2010年の法改正によって導入されました。総量規制の主な効果は、無理な借入れを抑制し、利用者の返済能力に見合った貸付けを促すことにあります。これにより、従来のような貸し手主導の融資から、借り手の生活再建や経済的自立を重視した健全な金融取引への転換が図られました。
 
運用面では、貸金業者が新たに融資を行う際には、申込者の年収を収入証明書などで確認し、すでに他社からの借入れを含めた総借入額が年収の3分の1を超えないよう管理する義務があります。ただし、住宅ローンや自動車ローン、銀行からの融資など、貸金業法の適用を受けない貸付けや、一定の例外(例えば、緊急の医療費に対する貸付け)も認められており、すべての貸付けに画一的に適用されるわけではありません。総量規制は、利用者保護の観点から極めて重要な制度とされており、金融トラブルの未然防止に寄与しています。

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