実質金利の正確な計算方法
実質金利は、表面金利(貸出金利)を基に賦金率を求めても、貸付日が大の月なのか小の月なのか、半年賦払い(ボーナス併用払い)があるのか、半年賦払いの初回が借入月から何か月目なのか等によって変化し、厳密には貸付毎に変わってきますので正確な実質金利を計算するのは極めて困難です。場合によっては、その値は表面金利から大きく乖離することもあります。
貸金業法及び割賦販売法が定めている実質金利の表示は「少なくとも小数点第一位」となっていますので、実際の貸付の実質金利が表面金利より小数点第一位の数字に影響を及ぼすほど乖離するのは問題があるかもしれません。しかし、実務的には、いくら乖離していても貸付条件表に記載されている実質金利(=表面金利)は、実は月利残債方式で計算されたもので貸付日により実質金利が大きく変わるのは加味されていません。
正確な実質金利の算出の考え方
正確な実質金利算定の方法は、別ページで説明した平均残高法によりますが、利息の計算は日割りの残債方式です。
その方法は、当初の月毎の元利金に基づき積数を求め暫定の実質金利を求めます。
次に、暫定実質金利を基に引き直し計算を行います。
引き直し計算の結果、最終支払回後に元利金にプラス・マイナス(過不足)が生じたら、暫定実質金利に0.01%を上乗せして(数値によっては0.01%減じる)再度引き直し計算を行います。プラス・マイナスが数円の場合は、暫定実質金利=確定実質金利として決定します。
暫定実質金利と暫定実質金利に0.01%上乗せした両方の引き直し計算の最終回の過不足金から、比例按分して実質金利を確定します。確認のため確定実質金利で引き直し計算で検算すると過不足金は数円に収まると思います。支払回数が長くなれば誤差も出てきますので数十円程度の過不足が出る可能性はあります。
順を追って説明していきます。
確定実質金利の算定方法
暫定実質金利の算出
今回の検証の貸付(借入)条件は以下の通りです。ページをご覧の方にも検証が出来るように実際のシートをコピーし、計算式も必要な部分を示しました。
なお、返済パターンは、クレジットの場合を例に検証しましたので一般的な証書貸付とは月払金額及び元利金の内訳で相違していますが、計算手順は全く同じです。
- 貸付日 2025年1月27日
- 貸付金額 金 1,000,000円
- 貸付利率(表面金利) 年率 7.5%
- 支払回数 36回
- 月払金額の計算方法
クレジットと同様に、元利金の合計を支払回数で除して100円未満を切捨て2回目以降の支払金額とし、切捨てた分は初回の分割金に上乗せする。 - 元利金の内訳
七八分法によりまず利息を計算し、その後月払金額から利息を減じて元金返済額を求めます。
貸付(借入)条件の入力
上記貸付条件を入力して返済予定表に反映させます。入力項目及び方法は次の通りです。
ご覧頂いた方が自分で検証出来るように計算方式及び考え方についても記載します。
記号等は、エクセル関数の表記をそのまま使用する場合があります。
➊➋❸❹➒➓の欄を入力します。
❺➏➐➑⓫欄は、自動で計算されます。計算式は下記に表示します。
⓬欄には、確定実質金利が自動で表示されます。
❺の計算式
=元金*(1+指数)
元金;貸付額(借入額)
指数;➏の計算式で得られた値
➏の計算式
=IF(表面金利=” “,” “,ROUNDDOWN((表面金利/12*(表面金利/12+1)^支払回数/((表面金利/12+1)^支払回数-1))*支払回数-1,4))
表面金利;みなし利息が無い場合は、月利残債方式においては実質金利と同じですが、ここでは正確な実質金利を求めるため区別する必要が有り月利残債方式による金利を表面金利と表現します。
➐の計算式
=支払総額-(2回目以降支払額*(支払回数-1)+ボーナス払い額*ボーナス払回数)
ボーナス払い額;クレジットの場合は、支払金額から任意の金額をボーナス払い額に出来ますが、住宅ローンを含む証書貸付の場合は、分割払いとして貸付金の内○〇万円、ボーナス払い(半年賦払い)分として○〇万として別々に支払金を計算して求められた金額を合算致します。
➑の計算式
=ROUNDDOWN((支払総額-ボーナス払い額×ボーナス払回数)÷支払回数,-2)
最後の-2は、百円単位で表示し、百円未満は切り捨てにします。
元利充当計算と暫定実質金利の算出
下表の数字の列に予めエクセル関数の計算式を挿入し➐列の最下行で暫定実質金利を計算いたします。
入力する項目は無く、全て予め設定したエクセル関数で自動計算されます。各列の計算式は以下の通りです。