意外と知らない!クレジットカード決済の仕組み

クレジットカード決済の基本的な仕組み

カード利用者、加盟店、カード会社の役割

クレジットカード売上の流れイメージ画像
クレジットカードの売上の流れ

クレジットカード決済は、カード利用者、加盟店、カード会社を中心に成り立っています。カード利用者は、クレジットカードを使用して商品の購入やサービスの提供を受け、加盟店に代金を支払います。この際、加盟店はカード会社と契約しており、カード決済を受け付けるための仕組みを整えています。一方、カード会社は利用者の信用に基づき支払いを立て替え、後に利用者から手数料を付して代金を回収します。これにより、利用者は現金不要で取引が可能になり、加盟店は売上向上や顧客満足度向上といったメリットを享受できます。

イシュアとアクワイアラーの関係

クレジットカード決済には、イシュア(カード発行者)とアクワイアラー(加盟店契約会社)という2つの重要なプレイヤーが存在します。イシュアは一般的にはクレジットカード会社で利用者にクレジットカードを発行し、信用の基準に基づいて利用可能枠を設定します。「クレジットカード会社」と一括りにすると、実際にはカードを発行しない国際ブランド(例:VISAやMastercard)も含まれてしまうため、区別のために「イシュア」という用語が使われます。

一方、アクワイアラーは販売店と契約を結び、加盟店の審査や管理を行います。イシュアとアクワイアラーが連携することで、カード利用者と加盟店の間で円滑な決済が進む仕組みが構築されているのです。例えば、イシュアが利用者の信用を保証し、イシュアはカード利用者に対して立替払いを行い、その資金がアクワイアラーを通じて販売店に支払われることで、消費という形で商取引の活性化が実現します。

アクワイアラーの身近な例としては、イシュアと百貨店や大型商業施設が加盟店契約を行い、その施設のテナントについては加盟店契約を行った百貨店や大型商業施設を経由してカード売上を行う場合です。百貨店や大型商業施設がアクワイアラーと親加盟店として契約し、各テナントはその傘下の子加盟店としてクレジット決済を行います。これにより、百貨店は各テナントの売上を一元的に把握できます。イシュアと親加盟店間の加盟店手数料が5%であった場合、親加盟店と子加盟店の手数料を6%程度に設定することで1%を親加盟店が中抜きします。なお、現在ではイシュアと百貨店や大型商業施設の間にアクワイアラーが介在することが多く、この場合は販売店は孫加盟店になり中抜きされる手数料も増えるため手数料は高くなります。上記加盟店手数料は、例であり実際は飲食店は10%程度、大型加盟店は5%以下で提携関係にある場合は極端に低くなります。

アクワイアラーの事業形態は一様ではなく様々です。一般的に、アクワイアラーは広く子加盟店を募集します。単独ではクレジット会社の加盟店審査を通過しないような弱小販売店や業種もアクワイアラーと契約することでクレジットの取り扱いができるようになります。但し、アクワイアラーも子加盟店の基準を下げるとチャージバックの危険性もあるため一定の基準は保持しています。

カード取引の流れをステップごとに解説

クレジットカードの取引は、いくつかのステップを経て完了します。まず、利用者がクレジットカードを提示し、加盟店で決済が行われます。このタイミングで「オーソリゼーション(信用照会)」が実施され、オンライン上で利用者の信用枠内かカードが有効かどうかが確認されます。次に、取引内容が「クリアリング」としてカード会社に報告され、正確な売上情報が処理されます。そして、最終的に「セトルメント(資金清算)」が行われ、カード会社間で代金のやり取りが完了します。この一連のプロセスにより、利用者、加盟店、カード会社の間でスムーズな決済が行われています。

オンライン取引の際の追加要素

オンライン取引におけるクレジットカード決済では、従来の決済プロセスに加えて、いくつかの追加要素が関わります。例えば、通常ではカード番号や有効期限、セキュリティコードの入力が必須であり、安全性を確保するために暗号化技術が利用されています。また、近年では「3Dセキュア」と呼ばれる認証システムが普及し、利用者がパスワードやワンタイムコードを入力することで不正利用を防ぐ対策が強化されています。オンライン決済の仕組みは、利便性を高めつつも、セキュリティへの対応を重視して進化しているのが特徴です。

各種クレジットカード決済の形態

オンアス取引とは:カード発行と取引の関係

オンアス取引とは、クレジットカードの取引において「イシュアー(カード発行会社)」と「アクワイアラー(加盟店契約を行う会社)」が同一である場合の取引を指します。この仕組みでは、全ての取引が一つのクレジットカード会社内で完結するため、手続きの流れが簡素化され、効率性が高まるのが特徴です。例えば、あるカード会社が発行したクレジットカードを、その会社と契約している加盟店で使用する場合、それがオンアス取引に該当します。このような仕組みは主に国内市場で見られることが多く、手数料が低減するなどの利点があります。

現在、オンアス取引を行っているのは、信販会社、JCB、アメリカン・エクスプレスで一部オンアス取引に含まれる取引が発生するのが三井住友カード、セゾン、MUFGになります。

オフアス取引とは:多様性と複雑性の背景

オフアス取引は、オンアス取引とは異なり、イシュアーとアクワイアラーが異なる会社である場合に発生します。この仕組みでは、加盟店と取引を行う消費者のクレジットカードが別会社から発行されているため、複数の関係者が取引に関与します。オフアス取引は多様性を持つ一方で、取引プロセスが複雑になる傾向があります。異なる会社間での情報共有や資金清算を行うため、決済ネットワークにおける詳細な調整が必要となるのです。しかし、この複雑性があるからこそ、異なる国際ブランドや多様なクレジットカードの利用が可能になっています。

国際ブランドの役割と影響

クレジットカードには、多くの場合VisaやMastercard、JCBなどの国際ブランドが紐づいています。これらのブランドは、イシュアとアクワイアラーの間で取引を仲介する役割を果たしています。また、国際ブランドは、カードが世界中で使用できるよう統一された仕組みや規格を提供し、加盟店の拡大を後押ししています。

たとえば、VisaやMastercardはほぼ全世界で広く受け入れられており、海外旅行やオンラインショッピングにおいて非常に利便性が高いです。JCBは、国内での加盟店網が充実している一方、近年ではアジア市場を中心に海外展開を進めています。これにより、カード会員は特典や利便性の点で選択肢が増え、消費行動の自由度が向上しています。

国際ブランドの存在は、クレジットカードを単なる支払い手段から「信用を裏付けるツール」に進化させたと言えるでしょう。消費者、加盟店、カード会社すべてにプラスの影響を与える重要な要素となっています。

デビットカードやプリペイドカードとの比較

クレジットカードに加えて、デビットカードやプリペイドカードもキャッシュレス決済の選択肢として広く普及していますが、それぞれ仕組みや特徴が異なります。デビットカードは、直接銀行口座と紐付けられており、利用時に即座に口座から代金が引き落とされる仕組みです。一方で、プリペイドカードは事前にチャージした金額内で決済が可能という前払いシステムを採用しています。これに対し、クレジットカードは後払いの仕組みであり、カード利用者の信用情報に基づいて決済が可能になる点が特徴です。デビットカードやプリペイドカードは、与信審査の必要はありませんが、年齢については下限が存在する場合があります。

また、特典やサービス面でも違いがあります。クレジットカードはポイント還元や分割払いが可能な一方、デビットカードとプリペイドカードは支出管理をしやすく、利用限度額を自分で設定できる利点があります。消費者は、自分の経済状況や利用目的に応じて、これらのカードを使い分けることが望ましいでしょう。

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