クレジットカードとローンの支払延滞は信用情報低下と法手続の危険性

債権回収の基本的な知識と仕組み

債権・債務の概念

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債権・債務のイメージ画像

債権とは、法的に定められた「他人に対して特定の給付を要求できる権利」を指します。例えば、商品やサービスを提供した後に、その代金の給付を求める権利は「債権」として扱われます。具体的には、商品を販売した際の商品代金及びクレジットカードの利用代金や住宅ローンの返済金などがこれに該当します。

 

一方で、債権に対して支払う義務を債務と言い、債務を負う者は「債務者」と呼ばれます。債権は資産であり、適切な資産管理の一環として債権管理が重要です。

 

なお、一つの契約において片方が必ず債権者であり、もう片方が必ず債務者になるとは限りません。一般的に契約は双方が義務を負う 双務契約 であり、双方が債権者であり債務者でもある場合が多くなりますが、片方だけが債務を負う 片務契約 もあります。

滞納が生じた際の初期対応の重要性

支払いの滞納が生じた際、早期の対応が非常に重要です。滞納が起きた直後は、督促や返済の交渉を含む初期対応を適切に行うことで、さらなる問題の拡大を防ぐことができます。例えば、クレジットカード会社や債権者から送られる通知を無視せず、すぐに対応することが求められます。

 

延滞の定義は、支払い期日を超えて未払いの状態となることとされますが、一定期間支払猶予期間を設けているクレジット会社も存在しています。この段階から、遅延損害金が加算されることもあるため、滞納を早めに解消することが大切です。初動が遅れると、後に信用情報機関への登録や訴訟といった大きなリスクを招く可能性があります。

督促から始まる債権回収の流れ

債権回収は、通常、未払の連絡から始まります。支払いが滞納されると、まずは債権者から電話、葉書、メールなどによる未払通知が行われます。この段階で支払いが行われない場合、次に催告状が送付され、それでも返済がなされない場合にはクレジット契約の場合には書留 内容証明郵便 を通じて法的効果のある督促が送られることがあります。クレジットカードを含むクレジット契約においては、書留内容証明郵便による督促は、単に支払いを促すという意味の他に 期限の利益 を喪失させるという目的があります。期限の利益を喪失すると「分割払いの権利」を失い残額を一括で支払わなければなりません。

 

また、購入した商品に価値がある場合はその商品の返還を求めることができます。それでも返済が行われない場合には、債権者は裁判所に支払督促を申立てる、または訴訟を提起するといった法的手段に進むことが一般的です。この段階に至る前に解決することが、債務者にとっても債権者にとっても最善の結果をもたらします。

債権回収における法的手続き

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裁判所からの呼び出しイメージ画像

債権回収では、法的手続きを活用することがしばしばあります。支払督促 や通常訴訟、仮差押えなどの法的メカニズムが代表的な手段です。支払督促は債務者への返済催告を裁判所を通じて行うものであり、内容に対して異議申し立てがなければそのまま訴訟で敗訴したのと同じ効果があり不利益を被ります、異議申し立てを行えば正式な訴訟へと進みます。

 

再分割による支払希望がある場合も異議申し立てを行えば和解が成立し再度支払い易い金額での返済を認められることがあります。一方、通常訴訟に至った場合には、裁判所の判決に基づき、債務者の給与や預金、その他の資産が強制的に差し押さえられる可能性があります。これらは債務者に大きな影響を及ぼすため、滞納を早期に解決することが重要になります。

債権者が取れる具体的な回収手段

債権者が採れる債権回収の手段には、いくつかの選択肢があります。まず、滞納者に対して電話やメールでの督促や内容証明郵便の送付が基本的な方法です。これに加えて、法的措置として支払督促や通常訴訟を選択することができます。

 

また、最終手段として強制執行を行い、債務者の資産や給与を差し押さえる手段もあります。さらに、債権を債権回収会社(サービサー)に譲渡するケースも見られます。いずれの方法も、債権管理 を適切に行うことで回収可能性を高めることができます。

滞納が引き起こすリスクとその先にある未来

滞納を放置するとどうなるのか?

クレジットカードやローンの支払いを滞納すると、まず債権者から催促や督促が行われます。この段階で適切に対応しないと、事態が深刻化する可能性があります。滞納を放置し続けると、分割払いやリボ払いの特典が失われ、一括での支払いを求められる場合があります。また、債権者が法的措置を取る準備を進めることも考えられます。早期の対応を怠ると、財産の差押えや信用情報の悪化にも発展する可能性があるため、滞納を軽視せず速やかに対処することが重要です。

信用情報機関への登録とその影響

滞納を一定期間続けると、その延滞情報が信用情報機関に登録されます。この情報はいわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態で、新たなクレジットカードの発行やローンの審査に大きな影響を及ぼすだけでなく、既存の他社クレジットカードの契約も途上与信審査で引っ掛かり強制解約される可能性があります。信用情報機関への登録は5年程度の記録が残り、期間中は信用を基にした契約が制限されるため、生活や事業運営に困難が生じる事例も少なくありません。

 

なお、信用情報機関への「ブラックリスト」の登録は、滞納が生じて直ちに行われるわけではなく、一般に2~3ヶ月経過した段階ですので、それまでに延滞を解消したり、それ以上に延滞年齢が進まないようにしなければなりません。但し、信用情報機関に登録されなくても、延滞が発生している金融機関やクレジット会社では自社ブラックリスト扱いですので新たな契約は結べません。このような悪影響を回避するには、クレジットカード契約や信用の維持管理に努める必要があります。信用を基にした契約への影響はローンやクレジットだけに限らず一定の契約下で同じ信用情報機関を利用している携帯電話の契約にも影響を及ぼすことがあります。

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