金融機関提携保証型カードローンを含む各種提携ローンの仕組みと契約関係

金融機関と保証会社間の契約

金融機関と保証会社間は包括保証契約が交わされています。個別に保証条件を決定するのでは無く、基本的な保証条件を纏めて取り決めし、その取り決めの中で個別に借主の保証を行います。

要は、金融機関との間に「お金を借りたい方が審査の結果問題なかったら保証をして下さい。謝礼として、保証料又は借主が保証委託料をお支払いします。但し、支払いが滞った場合は保証人として代払いしてください。」という契約をします。

借主と保証会社間の契約

借主と保証会社間の契約は、「私の借金の保証をして下さい。保証して頂いた場合謝礼として保証委託料をお支払いします。」という保証委託契約です。保証契約が、貸主と保証会社間の契約であるのに対して保証委託契約は、借主と保証会社間の契約です。借主が支払いを怠り、一般的に3ヶ月を経過すると金融機関から保証会社に保証人として債務履行(代位弁済)を求められます。金融機関に代位弁済すると保証会社は求償権を取得し借主の新しい支払先となり金融機関と借主の貸借の関係は消滅します。

 

なお、場合によっては、保証委託契約上の保証人を付ける場合があり契約関係は複雑になりますが、金銭消費貸借契約上の保証の場合は、「分別の利益」を主張される可能性が有るため、あくまで保証委託契約上の保証人、つまり保証会社(保証人)に対する保証人です。

金融機関及び保証会社と個人信用情報会社との関係

金融機関及び保証会社は定期的もしくは情報によっては直ちに個人信用情報機関にクレジットヒストリー他の情報を提供します。その一方、金融機関及び保証会社は個人信用情報機関に蓄積された大量の情報の提供を受け個人の与信判断に活用します。個人信用情報は100%名寄せが完了しているとは限りませんので全ての情報が一元化されているわけでは有りません。

カードローン型提携ローンの仕組みと契約関係

カードローン型提携ローンの申込から融資までの流れ

カードローン型金融機関提携保証ローンの仕組みと申込から融資までの流れは以下の通りです。
証書貸付型提携保証ローンとの違いは、ローンカードの発行があること、借入はローンカードを介してATMから借り入れる手段による割合多いこと及び金融機関と借主間の契約の違いです。

金融機関提携保証型カードローンの仕組みと流れ

カードローンの申込
信用調査
情報機関信用照会・結果通知
保証依頼
信用調査
情報機関信用照会・結果通知
保証諾否連絡
ローンカード発行
ローンカードによる借入
➓⓫返済・保証委託料支払
保証料(保証委託料)支払

及びは略同時に行われます。
の信用情報機関は異なる情報機関です。
の保証委託料は、通常返済と同時に支払われます。保証会社に支払われる金員が、保証料か保証委託りょうのいずれであるかは証書貸付型提携ローンと同じです。
但し、全て保証料ではなく保証委託料と考えるのが自然です。

カードローン型提携ローンの契約関係

カードローン型提携保証ローンでも証書貸付型提携ローンと同じく各当事者間で様々な契約が存在しますが、金融機関と借主間の契約以外は証書貸付型提携ローンと同じですので、ここでは金融機関と借主間の契約についてのみ説明します。

貸主である金融機関と借主間の契約

カードローン契約書の契約条項には、単に「カードローン契約の締結云々」と記載されることがほとんどですが、金融機関のカードローン契約書には、カード―ローン契約の条項の他に当座貸越契約の条項が有ったり、当座貸越条項しかない場合があります。ノンバンクのカードローン契約書は、カードローン契約なる文言を使用し、訴訟になった場合は「カードローン契約を締結した」、もしくは「継続的金銭消費貸借契約を締結した」と表現されます。金融機関とノンバンクの全く同じに見える(実際は、運用上多少の違いがあります。)カードローンでどうして契約名が違っているのでしょうか。
これは、カードローンが普及する以前から金融機関では、当座貸越という貸付形態が存在しており、制度・運用方法が変わっても同じ当座貸越であると認識しているものです。

借主と保証会社の間の契約

借主と保証会社の間の契約も上述の通り証書貸付型提携ローンと同じですが、証書貸付型提携ローンでは稀に見られる保証委託契約上の保証人を付けるケースはカードローン型提携ローンではまずありません。2024年の民法改正に伴い根保証に制限が加えられたのが原因というわけではなく、それ以前よりそもそも申込書に保証人の欄が有りませんでした、止む無く保証人を付す必要が有る場合は、別途保証契約書を作成することになりますが、そもそも保証人を必要とする申し込みは一般には保証を受諾されないと思われます。