銀行のカードローンとクレジット会社等消費者信用産業のカードローンの違い

金融機関と消費者信用産業のカードローンの繰り上げ返済方法の違い

借り入れたローン残高を早期に返済することを繰り上げ返済と言います。繰り上げ返済には、ローン残高全額を返済する全額繰り上げ返済とローン残高の内任意の金額を返済する一部繰り上げ返済が有ります。この繰り上げ返済については業態によって対応が異なります。

金融機関のカードローンの繰り上げ返済

金融機関の場合は、一般にATMから随時任意の金額を返済することが出来ます。一部繰り上げ返済の場合は、最小支払金額や単位に制限がある場合がありますが、比較的簡単に返済することが出来ます。資金に余裕が出来た際に繰り上げ返済を行うことで以後の負担が軽減されたり、利息という無駄な支払いを抑えることが出来ます。

消費者信用産業のカードローンの繰り上げ返済

消費者信用産業の場合は次の二つに対応が分かれます。

クレジット会社・信販会社のカードローンの繰り上げ返済

クレジット会社及び信販会社の場合、繰り上げ返済に制限が掛かる場合がある他、予め全額繰り上げ返済もしくは一部繰り上げ返済を行う旨をインターネットや電話で伝える必要があります。

 

クレジット会社や信販会社は、もともと支払いのほとんどを自動振替(口座振替)に依存しており自振セット率(全契約に対する自動振替での支払方法の割合)は90%を大きく超えている一方、自振収納率(自動振替請求件数に対する引き落とし率)は信販会社で80%~90%前半と低く、銀行系クレジット会社で90%代後半と非常に高いです。

 

そして、クレジット会社や信販会社は請求金額のデータを自動振替日の10日以上前(データ送付方法により日数に差があり)に銀行に送付し、さらに自動振替日から2~6,7日後に振替結果のデータを受け取ります。銀行に送った自動振替のデータは引き落としの取下げも可能ですが、銀行によっては1週間以上請求金額が引き落とし収納されたか否かが分からない状態、つまり残高か確定出来ない期間が存在するため繰り上げ返済を受付できないことになります。自振収納率が100%であれば当月請求分は支払われたものとして計算できますが自振収納率80~90%代ではリスクが大きすぎます。

消費者金融専業者

消費者金融専業者は支払方法を持参払い(とは言ってもATM返済ですが)となっていますので、金融機関と同様に繰り上げ返済は随時行うことが出来ます。

金融機関は提携ローン消費者信用産業はプロパーローン

貸付には、保証を付けない直貸のプロパーローンと保証会社の保証を条件とする提携ローン(保証提携ローンまたは提携保証ローンとも言う)が有ります。銀行などの金融機関の場合は、貸付のほとんどは提携ローンです。

銀行などの金融機関は提携ローン

銀行などの金融機関は、事業性資金については信用保証協会、消費者向けローンついては銀行系保証会社、信販会社及消費者金融専業者の保証を付けています。保証を付けるローンは住宅ローンだけでなく目的ローンやフリーローンなどの証書貸付(証貸)だけでなく当然にカードローンも含まれます。銀行系保証会社の中には銀行の子会社の保証会社と第二地銀系及び信用金庫系の保証会社のようにいくつかの金融機関が共同して設立した保証会社が有ります。

 

金融機関が保証を条件とすれば借主である消費者は保証会社との間で保証委託契約を結ぶのが一般的です。そして、支払いが遅れ概ね3ヶ月を経過すれば保証会社が代位弁済(保証債務の履行)を行い、以後は保証会社と返済交渉を行い、返済も保証会社と行うため金融機関とは縁が無くなります。代位弁済に先立ち銀行にある預金は借入金の残高と相殺されますので預金も全て無くなります。

 

保証会社の保証が付けば保証料が内枠で加算されるので金利が高くなる様に思われがちですが、実際は逆で消費者信用産業のプロパー融資よりも低い傾向にあります。

 

なお、金融機関の保証会社が複数ある場合は審査の段階で全ての保証会社に審査の依頼を行う場合もあり、そうすると全ての信用情報機関に照会情報が半年間登録されるためその後のクレジット等の審査で不利になる可能性があります。

消費者信用産業のカードローンはプロパーローン

クレジット会社、信販会社及び消費者金融専業者のカードローンはプロパー融資です。そのため、支払いが滞り貸付が不良債権化した場合の貸倒償却のリスクは全て貸付側が負うためコストが高くなり貸付金利は高めになります。貸付金利に保証委託手数料が上乗せされる提携ローンの方が高くなるように思われがちですがそうではありません。もちろん、客層の違いや信用供与の判断材料に信用だけしか把握できない消費者信用産業に対して金融機関は預金や収入、場合によっては不動産などの資産まで把握し、日頃から接点があることもあり、また借りた側の意識として銀行には不義理出来ないと考え不良債権化のリスクは低いと考えられています。

その他の違い

その他にも金融機関のカードローンと消費者信用産業系のカードローンとでは違いがあります。
以下に違いを示しますが、全てのカードローンに当てはまるのでは無く、特例として運用されている場合もあります。

自動貸付機能

金融機関のカードローンの中には、公共料金支払の口座振替をセットし請求金額を自動で貸し付ける機能を保有している場合があります。一般にカードローンの貸付単位は1万円ですが自動貸付の場合は1円単位となります。

複合機能型カード

金融機関のカードローンの中には、預金のキャッシュカードと兼用になっている場合が有ります。