滞納処分

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滞納処分とは、税金や公課などの公法上の金銭債権について、納期限までに納付されない場合に、国や地方公共団体が法律に基づいて強制的にその徴収を行う手続きのことをいいます。これは民間の債権回収とは異なり、裁判所の関与を必要とせず、行政機関が自らの権限で直ちに強制執行を行える点に特徴があります。具体的には、まず督促状が送付され、それでも納付がない場合には、財産調査が行われ、財産が確認され次第、「差押え」が実施されます。
 
差押えの対象となるのは、預貯金や不動産、給与、動産など多岐にわたります。差し押さえられた財産は、その後、公売(いわゆる官公庁オークション)にかけられ、得られた代金から滞納された税金などが回収される仕組みです。滞納処分は、租税債権が優先的かつ確実に徴収されることを目的としているため、民事執行に比べて迅速かつ強力な手続きが認められており、たとえば差押えに際して裁判所の許可が不要であるなどの点で、納税義務者にとっては非常に厳しい措置といえます。
 
もっとも、滞納者の生活に著しい支障を及ぼすと認められる場合には、分納の申出や換価の猶予などの救済制度も用意されています。そのため、滞納処分に至る前に、税務署や自治体との早期の相談・対応が重要です。

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